環境対応:WHO・RoHS指令とは

 水道水を供給する給水装置、例えば給水栓、止分水栓(バルブ)、継手、水道メーター等の主要材料には、青銅鋳物材料のCAC406(BC6)や、黄銅材料のC3604、C3771などの銅合金材料が、耐食性や生産性、及び経済性が優れることから長年使用されてきた。
 これらの銅合金材料には、快削性、鋳造性、さらには耐圧性等を向上させるため、数%程度の鉛を含有しているがこの鉛が水道水中に微量ではあるが溶出し、飲用することで人体の健康への影響が懸念されるようになった。

 WHO(世界保健機構)の飲料水水質ガイドラインの記述によれば、「鉛の許容濃度は水道水中において0.01mg/1以下が望ましい」とあり、このガイドラインに従って世界各国の水質基準が定められている。日本においては、厚生労働省が平成15年度に鉛の水質基準値を現行基準値の0.05mg/1以下から、0.01mg/1以下に強化し、この規制強化に伴い、給水器具からの浸出性能も強化されることが決定されている。


 


RoHS(ローズ)は、電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令。   2003年2月にWEEE指令と共に交付、2006年7月に施行された。Restriction of Hazardous Substances(危険物質に関する制限)の頭文字からRoHSと呼ばれる。

RoHS指令に基づき、2006年7月1日以降、EU加盟国内において、以下の物質が指定値を超えて含まれた電子・電気機器を上市することはできなくなった。                                           
•鉛 :1,000ppm以下             
•水銀 :1,000ppm以下
•カドミウム :100ppm以下
•六価クロム :1,000ppm以下
•ポリ臭化ビフェニル (PBB) :1,000ppm以下
•ポリ臭化ビフェニルエ-テル (PBDE) :1,000ppm以下

対象製品は、全ての構成部材で上記物質の含有率を指定の数値以下にする必要があり、適切な代替手段がない場合などには一定の範囲で適用が免除されることも規定され、例えば以下のような使用方法が適用免除となっている。         
•指定の範囲の 蛍光ランプ中の水銀
•ブラウン管などのガラス中の鉛
•指定の含有率以下の鉛を含む合金*
•高温溶接タイプの鉛はんだ
•医療器具

    詳しくは、『RoHS』フリ-百科事典(Wikipedia)にて
        http://ja.wikipedia.org/wiki/RoHS

代替材として
 この新基準に適合させるために業界では現在、(1)表面改質処理、(2)接水面塗装、(3)鉛フリー材料 の3種類が代表的な処置として採用されている。


     代表的な鉛レス・フリー銅合金鋳物

 

 

 

 

 

 

 

 

      主要成分(%)        
種類 Cu Sn Pb Zn Bi Si Sb
CAC901  ARA2B
86.0~90.6 4.0~6.0 - 4.0~8.0 0.4超~1.0以下 - 0.3
CAC902 ジョイアロイ 84.5~90.0 4.0~6.0 0.1 4.0~8.0 1.0~2.5 - 0.3
CAC903 ジョイアロイ 83.5~88.5 4.0~6.0 0.1 4.0~8.0 2.5~3.5 - 0.3
CAC904 クリカブロンズ 82.5~87.5 3.0~5.0 0.1 6.0~9.0 1.0~2.0 - 0.3
CAC911 キーパロイ 83.0~90.6 3.5~6.0 0.1 4.0~9.0 0.8~2.5 - 0.2
CAC411 ビワライト 90.0~96.0 3.0~5.0 0.1 1.0~3.0 - - 0.2
CAC804 エコブラス 74.0~78.0 - 0.1 18.5~22.5 0.1 2.7~3.4 0.1

 

指定の含有率以下の鉛を含む合金

合成成分として銅材の4%までの鉛



RoHS指令とは